概要
歯科用吸引システムの構造
1961年、デュールデンタルは世界初の吸引装置を開発し、横になっている患者さんへの治療を初めて可能にしました。当時は革命を巻き起こしたが、今では当たり前のことになっています。歯科用吸引システムは患者と歯科医師の安全性を高めます。ここでは、歯科用吸引システムの重要な点を簡単に説明します。この歯科用吸引システムは、チェア、吸引配管と吸引装置で構成されています。これらの部品はすべて一定の条件を満たしている必要があります。
必要条件
回転式器具やスケーラーによる治療中に発生するエアロゾルは、施術者や患者さんにとって感染リスクとなります。エアロゾルは治療室内で数メートルにわたって広がり、ウイルスや細菌で空気を汚染する。そのため、治療中は常にエアロゾルを吸引しておく必要があります。「歯科-セントラル方式の歯科用サクション EN ISO 10637:2018」を参照
- 毎分300L以上の吸引量を持つ口腔内バキューム。
- 水と空気の分離
- 排水中の重金属を分離器を介して除去することが望ましい。
- バクテリア・ウイルスフィルターを介して排気を衛生的に濾過することも望ましい。
口腔外バキュームはどうでしょうか? エアロゾルの発生源(回転器具、スケーラー)から、口腔内・外バキュームまでの経路は、細菌やウイルスで激しく汚染されています。口腔外バキュームは、吸引内バキューム(カニューレ)よりも常に(エアロゾルの発生源から)離れているため、口腔外バキュームは効果が低く、エアロゾルから施術者を守ることはほとんどできません。エアロゾル除去を効果的に行うには、口腔外バキュームを患者さんの口の前に直接置く必要あります。しかし、そこでは、視覚的な障害となります。そのためか、ヨーロッパでは口腔外吸引装置が全くありません。
追加情報:感染リスク:「エアロゾル」
セミドライ OR ドライ
ユニット内のセパレーターで汚水と空気を分離している場合は、ドライシステムと呼ばれます。一方、機械室の分離器で汚水と空気を分離する場合は、セミドライ方式と呼ばれます。
- ユニットに分離器は設置されていません。汚水と空気は、吸引配管を経由して機械室に一緒に運ばれます。
- 機械室にはセパレーター付きの吸引装置が設置されています。
- 吸引配管はユニットに接続します。弁を間に付けて、スピットンの排水を吸引配管に接続すれば、ユニットまでの排水管は不要になります。
「セミドライ」吸引システム
- ユニットに分離器が設置されて、分離した汚水は排水管へ
- 機械室には分離器セパレーターは不要です。
- 吸引配管と排水管はユニットに接続します。
「ドライ」吸引システム
追加情報:TyscorVS4歯科用吸引装置
セパレーター
セパレーターで汚水と空気を分離します。アマルガムなどの重金属を排水から分離するセパレーターもあります。
- ユニット内に設置可能なセパレーターがあります。(例:CS1またはCAS1)
- TyscorVS4のように、セパレーターを内蔵した吸引装置もあります。その場合、ユニット内のセパレーターは不要になります。
- アマルガムなどの重金属については、CAS1などのセパレーターが別途用意されています。この場合は、スピットンからの排水もCAS1のセパレーターに接続します。
製品ページ:セパレーター
リンシングユニット
バキューム使用時、セパレーターや吸引配管が乾燥するので、リンシングユニットはこれを水で湿らせます。
- 吸引配管、セパレーター内部が湿った状態に保たれ、蓄積を避け、粒子の除去に役立ちます。
- リンシングユニットはバキューム使用のときだけ少量の水を流します。
- 機能を維持するために、吸引システムの詰りを防ぐことを強くお勧めします。
製品ページ:リンシングユニット
スピットンバルブ
スピットンバルブは、スピットンからの排水を吸引ラインに排出することができます。
- スピットンバルブ内に残った水でいつでも吸引ラインは大気圧から遮断します。
- スピットンでの吸引音がしない。
製品ページ:スピットンバルブ
フィルターモジュール
フィルターモジュールには、メッシュフィルターが搭載されています。メッシュフィルターは、吸引システム、吸引配管、そしてセパレーターを大きな粒子の吸引から保護します。
- 衛生面を考慮し、メッシュフィルターは手を触れずに交換できることが望ましいです。
- フィルターモジュールは、吸引力をできるだけ妨げないようにする必要があります。
製品ページ:フィルターモジュール
バキュームホース
チェア内で使用された吸引ホース、ハンガーの吸引ホースは吸引力に大きな影響を与える。そのため、以下の点に注意してユニットを選定する必要があります。
- 吸引ホースは、内側が滑らかで、ポケットがないものでなければなりません。ポケットは吸引の流れを妨げ、衛生的な観点からも問題です。
- ホースは必要以上に長くせず、汚れた水が溜まるような場所を作らないこと。
追製品ページ:バキュームホース
吸引配管
配管プランニング、構造・寸法は、専門家が計画する必要があります。
- 安全性と機能性を確保
- エアロゾルを防ぐために高い吸引量を得る、300リットル/分以上
- 機械室に近いユニットと遠いユニットすべてに平均的な吸引量を提供します
- 将来のユニット増設時への対応
追加情報:機械室と配管プランニング